就活でのインターンシップの意義

就活でのインターンシップの意義とは?

就職活動の学生がインターンシップに期待しているのは、「紙やネットの情報ではわからない、リアルな情報を得る」ことだろう。同様にインターンシップの意義として、多くの人が言うのは「仕事内容を知る」という目的だ。

それは大切なことである。たとえば色々世問を騒がせた問題はあったが、いまだに大手の広告代理店は学生から人気の的だ。ただ、学生はその仕事内容に甘い夢を見ている。芸能人やテレピ局の人と一緒に、CM撮影で海外に行けたりするのかな、などと考えているのだ。こうした夢から覚めるために、現実の仕事を見ることは大切だ。ただ、そのためには大きなハードルがある。

まず、1つ目の問題として、人気の的になるような大手広告代理店のインターンシップ枠はとても小さい。就職活動と同様で、なかなか普通の学生はその恩恵に浴することができないだろう。

2つ目の問題は、超大手のインターンシップは、世間的イメージを高めるために、現実離れした「アトラクション」のような面白おかしいものになっていることが少なくない。そうした企業では、新商品開発やCM作り、社内探検隊なのプログラムを用意していたりする。しかも、生の仕事現場にいる営業スタッフやバックスタッフとともにする時間は少なく、大部分をインターンシップ担当の人事や広報の社員と過ごす内容になっていたりする。これでは本来のインターンシップの意義としては、何も意味はないだろう。

企業側からすればこれは致し方なかった部分もある。今後は変わっていくかもしれないが、これまでの学生優位の売り手市場の状況では、自社だけが厳しい仕事の実態を見せて、競合他社が学生向けの表面的アトラクションの楽しいインターンシップを行った場合に、学生が自社を選ぶだろうか。そうした意識の高い学生が取れるのならば良いが、実状としては、そうはいかないだろう。

さて、そういった事情も踏まえ、学生がリアルな仕事を知るための良い方法を提案したい。それは、「志望業界の中小企業」のインターンシップを受けることだ。

中小なら学生人気も高くはないので、応募すれば受け入れられる可能性は高い。また、中小だと手の込んだ楽しいプログラムを作る余裕もないので、営業同行などの現場に近いものが多くなる。そして、同業界なら基本、仕事のアウトラインは同じだ。広告代理店であれば、媒体スケジュールや枠取りなども覚えられるだろう。そうしてリアルを体感したうえで、改めて志望すべきか考えてほしい。

但し、大事なことが1つある。インターンシップで厳しい実情をみた業界を避けて、幻想で異なる業界に行っても意味がない。どの業界、企業にも厳しい面が必ずある。それを理解した上でどこを選ぶか、そのための材料を得るのがインターンシップの意義なのだ。

[コンサルタント 松本 正明]